肝細胞は再生力が強く、一部がダメージを受けても新しい細胞が生まれてきます。しかし、これを長年繰り返す事で再生する一方で傷跡の様なものが出来て肝臓がデコボコになってしまい血液の流れを妨げてしまうのです。文字通り、肝臓が硬くなって肝機能が低下した状態の病気を肝硬変と言います。肝臓は生きる上で非常に重要な役割を果たす器官であり、ここの機能が阻害されると多くの症状と合併症を引き起こします。肝臓に痛みを感じる神経が殆ど存在しない為、発症しても痛みを感じない場合が多く肝硬変の症状もなかなか出てきません。その為、自覚が遅れて症状が悪化すると手遅れになる恐れがあります。
C型肝炎ウイルスが肝硬変で最も多く7割を占めています。次に多いのはB型ウイルス肝炎が2割、アルコール性の肝炎は1割程度です。稀に、自己免疫性肝炎やヘモクロマトーシスなどがあります。肝臓は一部で障害があっても周りがカバー(代謝)して正常に機能しますが、症状が進むと代謝にも限界があるのでカバーしきれなくなる事で様々な症状を引き起こすのです。初期の状態で自覚症状も無く肝臓が通常通り働いている場合を「代償性肝硬変」、症状が進行して腹水や黄疸を起こしている状態を「非代償肝硬変」と呼びます。
殆どの場合、無症状が続いて機能が正常な状態の1/3程度まで働かなくなった辺りで、ようやく症状が出てくる事が多いのです。食欲不振や腹部の膨満感、吐き気、全身倦怠、疲れやすいと言った症状から始まり、更に悪化すると腹水や黄疸、食道静脈瘤、意識障害や吐血と言った症状を引き起こします。この辺りの症状が出た場合は、相当病気が進んだ証拠ですので診察を受けていない人はすぐに病院へ行く事をオススメします。
現れやすい合併症には、次の様なものが挙げられます。肝臓に現れるものは、肝硬変同様に自覚が非常に遅いので症状が自覚出来た時には、既にかなり進行している場合も少なくありません。
名前の通り食道製脈が瘤の様になった状態、瘤が突然破裂する事で吐血する時があります。止血機能が大きく低下しているので、大量出血を起こす可能性が高いです。
腹腔内に液体が溜まった状態、または溜まった液体の事を指します。酷くなると水分を取る事すら辛くなります、厄介な事に肝性脳症や食道静脈瘤を併発する恐れがあります。
血液の流れが阻害された事で、意識障害を引き起こす病気。程度が重くなると、非常に深い昏睡状態に陥って治療が困難になります。
肝臓癌の原因の大半は、多くの肝硬変の原因と同じC型肝炎ウイルスです。名前から分かる通り肝臓で起こる癌で、進行すると昏睡状態や大量の出血を起こして生命に関わる恐れもあります。
血液検査や画像検査など、いくつか方法はあります。肝生検が最も確実な手段とされていましたが、肝臓の組織を取り出す検査方法ですので手術しなくてはなりません。また、最近ではCTスキャンなどの進歩が進んだ事から他の手段を用いる場合が多いです。既に肝硬変になっている場合は「肝臓癌」を早期発見する為に定期的に腹部超音波検査(3ヶ月に1度)や血液検査(2ヶ月に1度)を行います。生命予後の為に、上部消化管内視鏡検査を行う事も重要視されています。
慢性肝疾患の終末像と呼ばれる肝硬変、現在の医療技術では残念ながら肝硬変となった肝臓を正常に戻す事は不可能です。例え原因が中止出来るものであって中止しても、回復は望めません。しかし、治療や食事療法を施す事で緩和や進行を食い止められるケースもあり、肝臓を移植すれば問題無くなるケースもあります。何らかの治療を行っていても急に発症する場合がありますので、安静な生活を送り激しい運動や自動車などの運転は避けましょう。
バランスが良くて高タンパク質の食事が基本です。しかし、折角タンパク質を多く摂取しても、しっかり消化出来なければ逆に悪化させる原因になる恐れがあります。また、運動を制限される場合もありますので、その場合は状態に合わせた塩分やカロリー摂取を試みましょう。
肝臓の炎症を抑える薬を基本に、状態に応じた薬物を使用します。
米国だけでなく、現在では日本でも行われている方法です。全ての人が受けられる訳ではなく手術自体の難しさ、手術によるリスクも少なくないと言う特徴があります。行う場合は、良く主治医と話し合って肝移植の特徴と自分の状況をしっかり理解する事が非常に重要です。ただし、私生活の上で肝硬変となる原因が絶てない場合は、遅かれ速かれ再び肝硬変になりますので効果は殆ど無いと言えます。
原因となるウイルスやアルコール性の病気を予防するのが、肝硬変への一番の予防策です。その為、次の行動を心掛けて少しでも肝硬変を防げる様にします。
・ビタミン、ミネラルを多く取りバランスの良い食事を心掛ける
・インスタント食品など、添加物が多いものは避ける
・過労やストレスを溜めない
・適度な運動を心掛ける
・肥満にならない様に摂取カロリーに気をつける
・アルコールの摂取量を減らす
・定期的に健康診断を受ける